AIと作業療法(OT)~実用性が高い方法!まずやるべき5つの業務改善

AIと作業療法

AIと作業療法(OT)~実用性が高い方法!まずやるべき5つの業務改善

狙い:AIを“下書きエンジン”として安全に運用し、記録・説明・連携の文章作業を圧縮する(個別の診断・治療指示は扱いません)

対象:作業療法士 / 訪問リハ・外来・施設 効果:文章作成の時間短縮 → 臨床に時間を戻す 安全:個人情報・誤情報・医療助言リスクを手順で抑止
結論:AIは「文章の整形・要約・叩き台作成」が得意です。
一方で「臨床判断の最終決定」や「患者固有の安全管理」は任せません。新人にカルテの最終サインをさせないのと同じです。

まず押さえる前提:AIに任せる線引き

ここでいうAIは、主にLLM(大規模言語モデル)を指します。強みは「文章作成の高速化」。弱みは「正誤の保証」と「責任の所在」です。

任せてよい(下書き領域)
  • SOAP/経過記録の文章化(入力は匿名化が前提)
  • 家族向け説明の言い換え(専門用語→平易化)
  • カンファ資料の要点整理・議事録整形
  • 一般知識の整理(重要箇所は人が根拠確認)
任せない(責任領域)
  • 禁忌判断、診断・治療方針の決定
  • 負荷量(回数・強度・中止基準)の確定
  • 個人情報を含む生データ投入(原則避ける)
  • 制度・法令の断定(必要なら一次情報で確認)

業務改善①:SOAP/経過記録の“下書き整形”

最初に着手すべきはここです。入力は匿名化した箇条書きだけにして、AIには整形(構造化)をやらせます。

運用の型:「メモ(箇条書き) → AIでSOAP整形 → 人が最終確認・修正 → 記録」
以下の匿名化メモを、SOAP形式で簡潔に整形してください。 医療助言の個別指示は避け、観察事実(O)と評価(A)と方針(P)を分けてください。 不確かなことは断定しないでください。文字数は600字以内。 メモ: – S:本人の発言(匿名化) – O:バイタル、実施内容、観察所見(匿名化) – A:現状の評価(断定しすぎない) – P:次回の方針(一般原則+確認先の提示)
  • ポイント:「主訴は本人の言葉に近く」「O/A/Pは小見出しで整理」など、あなたの記録ルールを先に固定します。
  • 注意:AI出力を“そのまま貼らない”。過剰な断定・不自然な一般化は削ります。

業務改善②:家族説明文の“わかりやすい翻訳”

家族説明は理解の差でトラブルが起きやすい領域です。AIには「専門用語→平易化」「確認ポイントの整理」を任せます。

プロンプト例:
次の説明を、家族向けに中学生でも読める日本語へ言い換えてください。 断定を避け、確認ポイントを箇条書きで追加してください。 「必ず〜」などの強い指示ではなく、「目安」「中止サイン」「相談先」を入れてください。 文章: (ここに説明文。個人情報は入れない)
  • 使いどころ:退院後説明、福祉用具の意図、家庭内での見守りポイントの整理。
  • 安全策:個別の運動処方に踏み込ませない。必要なら「主治医・所属方針・担当チームへ確認」を明記。

業務改善③:カンファ資料・連携メモの“結論ファースト化”

多職種連携で効くのは、情報量ではなく意思決定しやすさです。AIには「要点抽出」と「構造(見出し)」を作らせます。

鉄板フォーマット:現状 / 課題 / 提案(確認したい点)
以下の経過メモを、カンファ用にA4 1枚の箇条書きへ整理してください。 「現状」「課題」「提案(確認したい点)」の3ブロックで。 推測で埋めず、不明は「未確認」と書いてください。 メモ: (ここに匿名化メモ)
  • 効く場面:訪問頻度調整、福祉用具検討、家屋評価の要点、リスク共有。
  • 期待効果:会議時間の短縮、確認事項の抜け漏れ減、説明責任の明確化。

業務改善④:評価所見の“文章化”(数値は保持、解釈は最終確認)

評価データは「数値」だけだと伝わりにくい。AIは所見として読める文章に整形するのが得意です。

プロンプト例:
以下の評価メモを、記録に載せられる「所見」として文章化してください。 数値は単位付きで維持し、断定は避け、変化は「増減」「安定」で表現してください。 分母不明の増減率(%)は書かないでください。 メモ: (ここに匿名化データ)
  • 注意:「改善」など価値判断語は、観察事実とセットにする(AIに勝手に言わせない)。
  • コツ:“どの状況で/何が/どう困る”の機能記述を入れると、連携が滑らかになります。

業務改善⑤:事故らない“運用ガード”(匿名化・チェック・責任分界)

AI導入の成否はツール性能より運用設計で決まります。ここを固めると、他の業務改善が一気に回り出します。

ガード1:匿名化テンプレ
  • 氏名・住所・施設名・ID・電話は削除
  • 日付は必要性がなければ丸める(例:◯月上旬)
  • 固有エピソードは機能課題に要約
  • 画像・検査票スクショの投入は原則避ける
ガード2:チェック対象を固定
  • 数値(単位・桁・比較表現)
  • 安全・禁忌・中止基準に関わる記述
  • 制度・法令・加算など外部ルール
  • 強い断定(必ず/絶対)
ガード3:責任分界(超重要)
  • AI=下書き担当
  • 最終承認=担当OT(人)
  • 運用ルール=所属組織の情報管理規程に準拠
最短の始め方(7ステップ)
  1. 用途を1つに絞る(例:SOAP整形)
  2. 匿名化テンプレを固定
  3. 出力フォーマットを固定
  4. チェック担当を決める
  5. 禁止事項を明文化
  6. 共有範囲・保管ルールを決める
  7. 2週間試行→テンプレ微修正

実務チェックリスト(Yes/No)

  • Yes/No:入力文から氏名・住所・施設名など特定情報を除去した
  • Yes/No:日付・固有エピソードを丸め、特定可能性を下げた
  • Yes/No:AI出力を“そのまま記録に貼らない”運用になっている
  • Yes/No:数値・安全・禁忌に関わる箇所は人が確認する
  • Yes/No:個別の診断・治療指示に踏み込まないテンプレになっている
  • Yes/No:最終責任者(承認者)が明確である
  • Yes/No:共有範囲(チーム内/外部)と保管ルールが決まっている
  • Yes/No:まず1用途に絞って試行し、改善サイクルがある

よくある誤解(誤解→訂正→代替行動)

誤解1:AIは“正しい答え”を返す
訂正:AIは文章生成が得意で、正誤は保証しません。
代替行動:重要箇所(数値・安全・制度)は一次情報/所属ルールで確認します。
誤解2:匿名化すれば何でも入れてよい
訂正:匿名化しても、文脈で特定可能性が残る場合があります。
代替行動:固有エピソードを削り、機能課題へ要約して入力します。
誤解3:AIにリハメニューを作らせれば早い
訂正:個別の負荷量・禁忌判断は現場責任です。
代替行動:AIには「選択肢の列挙」「説明文の整形」までを任せます。
誤解4:ツールは高機能なほど良い
訂正:現場は“運用の単純さ”が再現性と安全性を作ります。
代替行動:用途1つ→テンプレ固定→チェック担当固定で始めます。
誤解5:AI導入は個人の工夫で回せる
訂正:個人運用は属人化し、事故時に守れません。
代替行動:入力テンプレ・禁止事項・承認フローをチームで合意します。

FAQ

Q1. 最初に導入するなら何が一番ラク?
A. SOAP/経過記録の「文章整形」が最短です。匿名化テンプレ+出力形式(SOAP)を固定すると安定します。
Q2. 現場で一番怖い事故は?
A. 個人情報の混入と、もっともらしい誤情報の混在です。チェック対象(数値・安全・制度・強い断定)を固定してください。
Q3. 家族説明に使っても大丈夫?
A. 一般的な説明の言い換え・要点整理は有効です。個別指示は避け、「所属ルール・主治医・担当チームへ確認」を添えるのが安全です。
Q4. 多職種連携で使うコツは?
A. 「現状・課題・提案(確認したい点)」の3ブロックに整形させると、意思決定が早くなります。
Q5. 継続運用の鍵は?
A. 用途を増やす前に、1用途を“事故なく回る仕組み”にすることです(テンプレ・チェック・責任分界)。

CTA(行動につなげる)

今日やるなら、この2つだけでOK

①この記事の「実務チェックリスト」をブックマーク。②チームで「匿名化テンプレ」と「最終承認者」を決める。
これだけで、AI導入は“遊び”から“運用”に進化します。

E-E-A-Tブロック

  • 執筆者属性:作業療法(OT)領域の実務視点で、記録・説明・連携の運用に寄せて整理
  • 記事更新日:2025-12-26
  • 根拠の扱い:不確かな点は断定せず、リスクは手順・チェック・責任分界で低減する方針
  • 相談先の一般原則:所属組織の情報管理規程、施設ルール、主治医・担当チームの判断を優先

免責

本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。実務への適用は、所属組織の規程および主治医・担当チームの判断に従ってください。

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