はじめに:夜中のトイレと長時間の不動は大きなリスク
高齢者の生活支援では、夜間のトイレ移動や長時間ベッドから起きてこない状態が大きなリスク要因になります。暗くて足元が見えにくいこと、眠気によるふらつき、血圧変動や脱水といった身体条件が重なりやすく、転倒や体調悪化を招きやすい 。また、日中にほとんど動いていないと気付かずに放置してしまうと、骨折や体調悪化に気づくのが遅れることもあります。こうしたリスクを軽減する手段として、カメラを使わない見守りセンサーや簡易AIデバイスが注目されています。
この記事では、夜間トイレや長時間動かない状態をさりげなく見守り、家族や介護者に通知する仕組みと、Amazonや楽天などで購入できる代表的な製品を紹介します。
夜間トイレと不動を見守るしくみ
センサーが動きを検知し、異常を知らせる
カメラを使わない見守りセンサーは、動きや温度・湿度・明るさなどを検知する仕組みです。室内に設置したセンサーが、ベッドから起きる・廊下を歩いてトイレに向かう・トイレから戻るといった動きのパターンを覚えます 。センサーは人の動きがない時間が長い場合や、トイレに入ったまま長時間出てこない場合など、“いつもと違う”状態を検知するとスマートフォンに通知を送ります 。これにより夜間の様子を目で確認しなくても、本人の安全を遠隔から見守ることができます。
開閉センサーとの組み合わせで細かな動作を把握
トイレや玄関のドア、冷蔵庫の扉に取り付けられる開閉センサーを併用すると、ドアの開閉状況から生活パターンを把握できます。例えば、トイレのドアが開いてから閉じるまでの時間や回数を記録しておけば、夜間の排尿回数が増えたことや長時間トイレから出てこない異常に気づきやすくなります 。冷蔵庫の開閉や玄関の出入りも確認できるため、生活全体のリズムを把握し、長時間動きが見られない場合に通知する設定も可能です 。
人感センサーで「動きが無い」を検知
人感センサー(人がいるかどうかを検知するセンサー)は、動きがあるかどうかだけでなく、温度変化に反応するタイプもあります 。設置場所は寝室や廊下、トイレ入口など転倒が起こりやすい場所が適しています。センサーは一定時間以上動きが検出されない場合にアラームを発し、家族や介護者のスマートフォンに通知が届く仕組みが一般的です。これにより「朝になっても起きてこない」「長時間動いていない」という状態を早期に察知でき、最悪のケースを防ぐ安全ネットになります。
市販されている代表的な製品
見守りセンサー「動きが無いときにお知らせ」
楽天市場で購入できる「見守りセンサー 動きが無いときにお知らせ」は、センサーが一定時間動きを検知しないときだけスマートフォンにアラートを送ります。カメラを使わないためプライバシーへの抵抗感が少なく、簡単に設置できるのが特徴です 。主なポイントは次のとおりです。
動きが無いときだけ通知:設定した時間内に人の動きを検出しないとスマホへ通知が届きます。逆に動きがある限り通知を出さないため、不要なアラームが少なく日常生活を邪魔しません。 リアルタイム状況確認:専用アプリでセンサーが動きを検知しているかどうかをリアルタイムで確認できます 。 カメラ不要で設置が簡単:本体に両面テープが付属しており、トイレの壁やベッド横の家具など、転倒が気になる場所に簡単に取り付けられます。カメラを使わないため被写体のプライバシーを守りやすいのが魅力です。 月額料金なし:スマートフォンのアプリとWi‑Fi環境だけで利用でき、追加の月額費用が不要です 。 設置例:トイレや脱衣所、寝室のほか、玄関や冷蔵庫のドアに設置して生活リズムをチェックする使い方も紹介されています。
夜間トイレで転倒が起きやすい環境では、このセンサーをトイレ前の廊下や寝室に設置すると、長時間戻ってこない状態を早めに検出できます。ベッドから起きない、昼間からずっと動きが無いといった場合にも通知が届くので、遠方に住む家族が安心して見守れます。
auの「かんたん見守りプラグ」
KDDIが提供する「かんたん見守りプラグ」は、電源タップ型の見守り機器で、コンセントに差し込むだけで設置が完了する手軽さが魅力です。内蔵された4種類のセンサー(人感・温度・湿度・明るさ)と家電の使用状況を検知し、スマートフォンアプリで生活パターンを確認できます 。特徴は次のとおりです。
複数のセンサーで環境を把握:人の動きだけでなく、部屋の温度や湿度、明るさ、コンセントに接続した家電の使用状況も記録するため、寝室の環境変化や生活リズムの把握に役立ちます 。 日常生活を可視化して通知:アプリでは室内の環境と生活のパターン(起床・就寝時間や、日中の活動の有無など)をグラフ化し、異常があると通知します 。 プラグに差すだけの簡単設置:複雑な設定は不要で、コンセントに挿すだけで使い始められます 。 カメラ不使用で抵抗感が少ない:カメラを内蔵していないため、利用者の心理的負担が少なく、ストレスなく見守りができます 。
このプラグは防水ではないため浴室には設置できませんが、寝室やトイレ付近のコンセントに差しておけば、夜間に起きてトイレへ行ったかどうか、朝ベッドから起きたかどうかをデータとして確認できます。例えば長時間トイレから戻ってこないときや、日中に動きがほとんど無い場合に早期に異変を察知できます。
導入時のポイントとまとめ
夜間トイレや長時間の不動を見守るセンサーを導入するときは、次の点を意識すると安心です。
設置場所の優先順位を決める – 夜間に転倒が起きやすい寝室とトイレまでの動線、長時間動かずに過ごすことが多い場所を優先してセンサーを設置します。 通知先と対応方法を決めておく – 誰のスマートフォンに通知を送るのか、通知が来た際にどのように確認・対応するのかを家族や介護スタッフで共有しておきます。 プライバシーへの配慮 – カメラを使う場合は映像が残りますが、センサー型であれば動きだけを検知するため、利用者の抵抗感が少なくなります 。本人や家族が安心して使える方法を選びましょう。
夜間のトイレ移動と長時間の不動は、高齢者の転倒や体調悪化を招きやすい場面です。カメラを使わない見守りセンサーやプラグを活用することで、利用者本人の負担を増やすことなく、家族や介護者がタイムリーに様子を把握し、安全を支えることができます。センサーやAIを「監視」ではなく、安心して生活するための保険と捉え、適切に活用することが大切です。

